質問パソコンの起動(動き)が遅い

【対象:Windowsを搭載したパソコン】

パソコンはハード(機械)とソフト(システム)からできており、動作が遅いときはこの2つの面から判断する必要があります。それぞれについて解説します。

1. ハード(機械)面から判断する

判断のポイントは3つ、「CPUの性能」、「メインメモリの容量」、「HDDの性能」です。

1.1 CPUの性能

CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)はパソコンの頭脳といえる装置です。パソコンの処理は全てこのCPUが行っています。CPUの性能がパソコンの性能を決定しているといっても過言ではありません。CPUの性能は、CPUの種類と周波数によって決まります。パソコンに搭載されているCPUの種類と周波数を調べることで、ある程度パソコンの性能を把握することができます。

1.1.1 CPUの種類

Windows搭載のパソコンでは、主に次の種類のCPUが搭載されています。

例)
Intel Core i7(インテル コア アイセブン)
Intel Core i5(インテル コア アイファイブ)
Intel Core i3(インテル コア アイスリー)
Intel Celeron(インテル セレロン)
Intel Pentium(インテル ペンティアム)

IntelとはCPUの大手メーカーである米インテル社のことです。このリストは上から性能の高い順となっています。Core i7などは高速な処理が必要なパソコンに搭載されており、性能も高く価格も高価です。Pentiumなどは安価ですが、性能は低くなります。i7-XXXXXのように、その販売時期によって世代型番が名前につけられています。

1.1.2 CPUの周波数(クロック)

CPUの種類の他に、CPUの性能を決定する要素として周波数があります。

例)
Intel Core i7-7500U 2.70GHz
Intel Core i3-7100U 2.40GHz

単位はGHz(ギガヘルツ)と読みます。周波数はCPUが命令を処理するタイミングを表すもので、この数値が大きいほど高速なことを意味しています。CPUの種類が高性能なものでも、周波数が低いと処理が遅いこともあり、逆にあまり高性能な種類でなくても、周波数が高い場合には処理が速いこともあります。

1.1.3 それ以外の要素

現在、CPUの種類や周波数だけでは単純に性能を測ることは難しくなってきています。例えばCPUの中にはコアと呼ばれる本体がありますが、従来は一つのCPUに入れられるコアは1つだけでした。しかしながら、近年の技術革新によって一つのCPUに複数のコアを入れることができるようになっています。

例)
Core i7-5960X 3.00GHz コア数 8
Core i7-5930K 3.00GHz コア数 6

この場合、同じCPUの種類で周波数も同じですが、上の方がコア数が多く性能は高くなります。この他にもキャッシュ容量などの要素がありますが、大まかには種類と周波数で性能は決定されています。

1.1.4 CPUの調べ方

パソコン購入時の書類に明記されている場合もありますし、CPUの種類についてはパソコン本体に貼ってあるロゴでも確認できます。

[シールサンプル]

またWindowsの機能である「システム」を通じて調べることができます。

CPUの性能があまり高くない場合、パソコンの動作が遅いのはある意味仕方の無い面があります。
パソコンは使い慣れてくるほどやりたい事も増えてきます。購入時には最低限の性能があればよいと考えがちですが、よく検討してみることをお勧めします。

1.2 メインメモリの容量

メインメモリ(主記憶装置)は単にメモリともよばれ、パソコンのソフトを動かす際に利用されます。メモリの容量が大きいほど、一度に多くのソフトを動かすことができるようになります。メモリはパソコンの本体内に装着されており、多くの場合、交換することができるようになっています。

1.2.1 メモリ容量

Windowsなどのシステムでは、最低で搭載しなければならないメモリ容量が決められています。これはシステム自体もソフトであり、メモリを利用するからです。

例)
Windows 10(2GB)

単位はGB(ギガバイト)と読みます。この場合、最低限のメモリ容量がなければシステムとして機能しない(動かない)ことになります。システム上で別のソフトを使おうとすれば、その分だけ余計にメモリを搭載しておかなければなりません。画像処理ソフトなどは非常に多くのメモリを利用するため、たった1つ動かすだけでもメモリが不足することがあります。

1.2.2 メモリ不足と速度低下

システムとソフトで使用するメモリが足りなくなった場合、パソコンはどうなるのでしょうか。通常であればシステム自体が使用不能に陥ったり、そもそもメモリが足りなくなるようなソフトを動かすことはできません。

パソコンには「仮想メモリ」という機能が搭載されており、これによってメモリが足りなくなっても危機的な状態にならないようにしています。しかしながら、残念なことにこの機能がパソコンを遅くする原因となっています。

仮想メモリでは、メモリに入りきらなくなった情報を、メモリから別の記憶装置に書き出します。つまり別の記憶装置をメモリの代わりにすることで、不足分を補うという仕組みなのです。

メモリは非常に高速に情報を読み書きできる装置ですが、他の記憶装置ではそうはいきません。その結果、仮想メモリに追いやられた情報は、通常の何倍もの処理時間がかかるようになり、結果としてシステム自体の処理がどんどん遅くなってしまうのです。これがメモリ不足でパソコンが遅くなる理由です。

1.2.3 メモリ不足を起こす原因

「私はそんなにソフトを使っていないし、仮想メモリは使われていないはず。」と考える方もいると思われます。しかしながら、自分では何もしていないと思っている場合でも、ソフトは動いていてメモリを使用するということがあります。

Windowsのシステムでは、「常駐ソフト」というものがあります。これはWindowsの起動時に自動的に動くように構成されているソフトをいいます。常駐ソフトの動作に利用者が直接関与することはないため、何もしていなくても勝手に動作してメモリを利用します。そのため、常駐ソフトが多くなればなるほど実際に使えるメモリ容量は減ることになります。

常駐ソフトは「タスクバー」の「インジケーター」、「タスクマネージャー」の「スタートアップ」タブから確認することができます。

また近年はサイバー攻撃などに対抗するため、コンピューターウイルスに対抗するため、「セキュリティソフト」が必須の時代となっています。セキュリティソフトはシステムと密接に関連し、複雑な処理をするため、メモリを多く消費するものがあります。またシステムの検査などがかかると、メモリの消費量が一時的に増加するなど、メモリが不足することも考えられます。

1.2.4 メモリ容量の調べ方

パソコン購入時の書類に明記されている場合もありますし、Windowsのシステム上から「デバイスマネージャー」、「systeminfo」、「システム」を通じて調べることができます。

以前はメモリはパソコンのパーツの中でも高価であったため、店頭での販売価格を下げるため、ギリギリの容量で販売されることが多くありました。現在はメモリ価格は下落傾向にあり、余裕を持った容量で販売されていると思われます。もしメモリ不足が疑われる場合は、交換しやすいパーツですので増量を検討されてもよいでしょう。その際は自身のパソコンに使用できるメモリの種類や最大容量などを調べる必要があります。

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