
『渡り鳥も聴こえる』

2025年 82分
監督=寺尾都麦
主なスタッフ:撮影・編集=岩佐悠生 照明=葉山いろは 録音=喜屋武正樹 音楽=松吉菜々子 カラーグレーディング=長沼勝大 プロデューサー=一條李花子 製作=クリエイティブチーム春瑠-hallu-
主なキャスト:一ノ瀬竜(小山誠太役) 竹内啓(清水美雪役)
あらすじ
タクシーの乗り逃げで前科を抱える小山誠太は、東京で細々と生活していた。ある日、ふと思い出された池田町の雪景色の記憶を頼りに移住を決意する。単身で池田町に移住した誠太を不審がる町民が多いなか、近所に住む青年・清水美雪はやたら世話を焼いてくる。美雪との交流に戸惑いながらも心を開いていく誠太だったが、やがて前科の噂が町に広まり、美雪ともすれ違ってしまう。美雪が誠太を気にかけるのにはある理由があった。その告白をきっかけに、誠太は 再び自分に向き合うことを決心する。傷を抱えた二人の青年が出会い、寄り添い、自分を受け入れるまでのひと冬の物語。
作品のメッセージ
本作では、現代において一瞬で拡散し一瞬で忘却される無数の事象のうちの一つを掬い取り、社会に忘れられてもなお縛られ続ける当事者へのケアを描こうと試みました。
誰もが何かの当事者になり得るこの社会で、私たちに必要なのは斧のように振りかざす正義なのか、あるいは裏側に想いを馳せるケアの精神なのか、自らにも問い直すように脚本を書きました。
アンフェアネスが加速し、正義が暴走する社会において、『渡り鳥も聴こえる』が人の連帯を信じさせてくれる小さな希望や勇気となってくれたら、これ以上嬉しいことはありません。
監督紹介
2000年生まれ。大学在学中に独学で映画製作を始め、『ブルートピア』、『キャンバス』と2作の長編映画を製作。2023 年3月、クリエイティブチーム「春瑠-hallu-」を結成し、会社員をしながら映像制作に取り組む。2023年には短編映画『風光る』、MV『二十一世紀少年』を脚本、監督。2023年12月から長編映画『渡り鳥も聴こえる』を撮影開始。