うえだ城下町映画祭第15回自主制作映画コンテスト

コンテスト結果

審査員3名(大林千茱萸さん、柘植靖司さん、古厩智之監督)による審査の結果、下記のとおり「大賞」1作品、「審査員賞」3作品、この他、うえだ城下町映画祭実行委員会が選んだ「実行委員会特別賞」1作品が決まりました。

作品名 監督 作品の
時間
大賞 それも恋 今野 雅夫 36分
審査員賞
(大林千茱萸賞)
EDあるいは
(君がもたらす予期せぬ勃起)
西口 洸 48分22秒
審査員賞
(柘植靖司賞)
子どものおもちゃ 松浦 真一 52分
審査員賞
(古厩智之賞)
ブルー・ジェーン 動画配信はこちら(H30.3.31まで) 岡田 真一 28分
実行委員会特別賞 カランコエの花 中川 駿 39分

映像の収蔵と配信について

下記の作品を、上田市マルチメディア情報センター映像ライブラリーに収蔵しました。
■大賞「それも恋」
■大林千茱萸賞「EDあるいは(君がもたらす予期せぬ勃起)
■古厩智之賞「ブルー・ジェーン」

また「ブルー・ジェーン」は平成30年3月31日までインターネットで配信します(WMV形式)。視聴はこちらから。


審査員コメント

大賞作品「それも恋」

この映画祭に俳優に対する賞があるのであれば、この作品の主演女優さんは誤いなく最優秀主演女優賞を獲得したでしょう。その彼女が思いを寄せる中国人の若い男の子がこれまた魅力的。この二人が織りなす恋のようなものは、十代の男女の恋とは違うのだが、見終わった後、確かに「それも恋」だと思わせる。(審査員 柘植靖司)


なんといっても主演女優のお姉ちゃんの、人生ふてくされてしまった横顔がいい。それがイキイキしたときはとってもパワフルなんだけど、どこかに恥じらいがあって慎みぶかくて大好きです。そうだ。この作品の登場人物は、みんな恥を知っていて、そこがいい。デリヘルやってる妹は世の中斜めに見る発言を繰り返すくせにお姉ちゃんを守ろうとする。主人公をだます中国人イケメン青年は、同時に病気の子供もいて…。みんな「自分が恥ずかしい」というように目をふせながら向き合って行く。ドライさと愛情がつむぎあって描かれる、良い作品でした。(審査員 古厩智之)


審査員賞 大林千茱萸賞「EDあるいは(君がもたらす予期せぬ勃起)」

まずは西口洸監督、おめでとうございます!

本作は正直、「勇気」が試される作品でした。
ただし試されるのは「審査員の勇気」ですが…(笑)。

ただそれほどに、オリジナルな映画でした。
題名はイニャリトゥのアレンジですが(笑)。

海の岩場からあがる海女さん。
母のセミヌードで勃起からのED。
説明なく日常としてある砂浜の教室。
象の滑り台、バナナのカーテン。
波間でずぶぬれデート。
公衆トイレの屋根と、そこに被る音楽。
…ありがちな落としどころを安易に選ばず、
すべてをひらりひらりと交わしながらも、
すべてがつながってゆく不思議な心地よさ。

そして、母の裸体と向き合ってからの、
夜の疾走から君が代までのカタルシス!

そして思わずメモってしまうほど、セリフも良かった。
「君にあっている間だけ、僕は真っ直ぐに立っていられるんだ!」
「乾いているよりいいじゃないか!」
応募作137本の中でも、ひときわ輝く名ゼリフでした。

はじめに「勇気が試される」とお伝えしましたが、
応募作は年々クオリティーも高くなり、
出品者もその半分ほどが、
なにがしかで映像に関わるプロの方が増えました。
技術もあり、キャストも美しく、演技も演出も達者。
すぐにTVで放送できるような作品も多かった。
「うまくまとめようとする力」が強すぎてしまい、
あえて言えば「優等生」的と言わざるを得ない。

私も実は最後の最期まで、候補作を別に挙げていました。
それはそれでやはり素晴らしい映画だったので。

でも、本作にはそういう優等生たちが置き去りにしてきた、
「ほとばしり」や「リリシズム」や「グルーヴ感」が漲っていました。
そういった、映画そのものから放出される魂の叫びを受け止めるべく、
私も審査員として逃げちゃいかん!と想い、
勇気と愛と覚悟と責任をもって、
僭越ながら大林千茱萸賞とさせて戴きました。

東京駅近くの印刷所にいるのですが、
電車に乗って向かうことができずごめんなさい。

西口洸監督にお逢いしたかったし、
今日は過去に大林千茱萸賞を受章された金子監督も、
上田で凱旋上映されているのに再会ならず、誠に残念です。
でもきっと、映画を作り続けていればお逢いすることになるでしょう。

親友くんの役割も、 転校生の奇蹟の彼女も、とても良かったです!
映画、おもしろく拝見しました。
スタッフ&キャストの皆さん、おめでとうございます!
またどこかでお目にかかるのを楽しみにしています!!

2017年11月18日午後3時すぎ。
大林千茱萸拝


審査員賞 柘植靖司賞「子どものおもちゃ」

この『拳銃ごっこ』に興じる子供たちには確かに本物の銃声が聞こえているのだろう。死んだフリをして校庭の地面に、校舎の廊下に、教室の床に寝そべっている感覚、その快楽が伝わってくる。『ごっこ』の真髄を感じました。映画作りもこの『ごっこ』の延長線にあるのでしょう。(審査員 柘植靖司)


審査員賞 古厩智之賞「ブルー・ジェーン」

これね、好きです。男の子の世界なんだよな。たけしの「あの夏いちばん静かな海」とか「キッズ・リターン」みたいに「男の子の論理と倫理」でお話が動く。その倫理はこの世界では絶対的な法則。「ヤンキーは写真が好き、なぜなら今はすべて過去になっていくから」というアレ。その法則に主人公たち3ピースバンドも絡め取られ、やはり抜け出ることは出来ない。ぎゅーんと時間が巻き戻って、今がノスタルジアになって行くのは、その法則そのものを絵にしていて、びっくりした。歌もよくって涙が出てしまったなぁ…。結成シーンも、エレベーターの取引も、映画を撮る喜びに満ちていて楽しかった。(審査員 古厩智之)


実行委員会特別賞 「カランコエの花」

作品を評価する基準として、大まかにその内容「何を」とそのスタイル「どのように」を設定し、評価の目安とすることが一般的な方法だと認識するが、最近の傾向として、この設定が曖昧になり、ともすればあえてそれに関わらず、思いの丈や、デリケートな気付きをそのまま、もしくは増幅して言い放つ作品が増える傾向にあるように思われる。
そんな中「カランコエの花」は、内容とスタイルが緊張感を持って巧みに表現され、なによりもそのバランスの良さが際立った作品だ。
登場人物それぞれの個性・人間関係の巧みな表現もすばらしく。また「LGBT」をテーマに取り上げているのだが、単に個人の問題に停まらず、我々に身近な問題として社会との関係において描いている。
ノミネートの中には映像表現(スタイル)が特に際立って秀でた作品もあったが、映画の本質はあらゆる表現方法のバランスにより成り立つ複合体であり、文学・音楽・絵画などとの大きな違いはそこにある。
その意味で「カランコエの花」は本物の映画と言える。作者には、このまま映画の王道を歩み続けて欲しい。(うえだ城下町映画祭副実行委員長 山﨑憲一)


コンテスト全体について

毎年、出品作品の上手さに驚かされます。また、ジャンルも幅広く、豊かな映画祭になっていると思います。審査する立場としては、シリアスなテーマを扱った、いわゆるマジメな作品に目が止まり気味ですが、(コメディをはじめ)あっと驚く表現とテーマを扱ったとんでもない作品との出逢いを密かに期待しています。(審査員 柘植靖司)


「真夜中モラトリアム」あの河原、主人公たちのざらっとしたふれあい方、グランジのようになるのかと思うとへなへなと折れ、素晴らしい空気でした。
「ENDの中で」最後の歌はよかったなぁ。
「もう走りたくない」不器用がそのまま形になってて、それは青春そのものでもあり、好ましい。
「戻る場所はもうない」岩井俊二かと見紛う叙情性。ドキュメントなのにふわりと香る叙情性は唯一無二の個性。
「子どものおもちゃ」子どもの純粋が残虐にくるりと反転しそうな瞬間がありました。
「EDあるいは(君がもたらす予期せぬ勃起)」やーバカバカしい。そしてエロを取るはずなのにぬめぬめした食べ物とかの、気持ちわるいものを撮ってしまってなんか興奮しちゃうという、衝動を48分も持続させ(てしまっ)た傑作。
と…印象に残る作品はどれもエモーショナルでした。この気持ちを撮りたいんだ!という思いにやはり感動するのですね。
テクニックがある方が作ったうまい作品が非常に多かっただけに、「わー!」と叫びたい思いがどこかにあるものに心惹かれました。(審査員 古厩智之)


ノミネート作品(受付順)
作品名 監督 作品の時間
真夜中モラトリアム 磯部 鉄平 23分
GOOD MORNING BATH 鈴木 康太 21分
つむぎのラジオ 木場 明義 84分
ジャスト・ア・ヴァージン 鴨井 奨平 30分
浦島太郎 堤 真矢 32分
なぎさ 古川原 壮志 18分13秒
ENDのなかで 鷲尾 温志 29分
もう走りたくない 平井 諒 29分
ここにいる 高山 直美 16分30秒
決別 上村 奈帆 36分
戻る場所はもうない 笹井 歳春 39分
透明日和 笠原 祐樹 30分
夜明け前が一番暗い 宮尾 昇陽 43分
今夜新宿で、彼女は、 山田 佳奈 30分
エダマメ嬢 古市 あきほ 34分
触れたつもりで 西川 達郎 28分

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