24th うえだ城下町映画祭 関連企画

Scene 2.上田ロケ監督の声

上田市では、大正時代からたくさんの映画が撮られ、「映画のまち うえだ」として親しまれてきました。撮影には欠かせない晴天率の高さ、豊かな自然、風情のある街並み、東京からの距離など様々な理由で、数多くの監督から愛された土地、それが上田です。2001年には信州上田フィルムコミッションを設立し、これまでに1000本以上(PV等も含む)のロケ誘致をしてきました。「うえだ城下町映画祭」では、オンライン開催企画のひとつとして、上田市でロケを行った監督やスタッフの皆様からロケに関わるエピソードや思い出を寄せていただきました。

黒沢 清監督

1955年兵庫県出身。学生時代より8ミリ映画を撮りはじめ、1983年商業映画デビュー。2020年『スパイの妻』が第77回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞。

贖罪(2012年)

あらすじ

小学生の娘を何者かに殺された麻子は、事件の第一発見者でありながら犯人の顔を思い出せない娘の女友だち4人を責め、贖罪を求める。それぞれの道を歩み大人になった4人は、やがて連鎖する悲劇を引き寄せていく。

上田ロケ作品

Q1. 作品名
『贖罪』
Q2. 見どころ
湊かなえ原作によるミステリー。地方の小学校で殺人事件が起こり、現場に居合わせた5人の女性たちがたどるその後の運命を描いています。
Q3. 感想やエピソード
撮影にこころよくご協力いただき、とても感謝しています。とりわけ上田市の小学校で凄惨な殺人シーンの撮影を行った時は、普通なら迷惑がられるところを、学校の方たちが「我々も、いつもドラマや映画でサスペンスを楽しんでいますから」と気軽に了承していただけて、涙が出るほど嬉しかったことを記憶しています。

清水 厚監督

1997年『ねらわれた学園』で劇場映画デビュー。映画『蛇女』『ユメ十夜』『ナナとカオル』など、日常に垣間見る非日常をモチーフに、狂気とノスタルジー漂う異世界を創り続けている。

ナナとカオル 第2章(2012年)

あらすじ

幼なじみのナナとカオル。隣どうしに住む高校生の2人は、ふとした事から“息抜き”と称したSMプレイにはまっていく。成長するにつれ、少しずつ形を変えていく2人の仲…。この息抜きは終わりを迎えてしまうのか⁉

上田ロケ作品

Q1. 作品名
『ナナとカオル 第2章』
Q2. 見どころ
高校生のSMレッスン
ちょっぴり切ない青春物語
Q3. 感想やエピソード
上田市の至る所で撮影させて頂きました。まずは別所線の八木沢駅に降り立った女子高生
まさかこの美しい土地でSMプレイをすることになるとは……塩田の田園~塩野神社~柳町~etc.
撮りたい場所が多すぎてスケジュールが押してしまいました。快くロケを助けていただいた上田の皆様のおかげで、とても好感のもてる作品になったと思います。
Q4. その他
お世話になっております
上田市の文化の益々のご発展をお祈り申し上げます。

眞田 康平監督

1984年石川県出身。東京藝術大学大学院映像研究科修了。主な監督作品は、オムニバス映画『紙風船』の中の一篇『命を弄ぶ男ふたり』、長編映画『しんしんしん』など。

イカロスと息子(2016年)

あらすじ

離れて生きてきた息子の結婚式のため田舎を訪れる父。息子は父を憶えておらず、母は奔放、外国人の新婦は日本語が話せない。ぎこちない家族の物語。

上田ロケ作品

Q1. 作品名
『イカロスと息子』
Q2. 見どころ
うだつのあがらない主人公は、会ったことの無い息子の結婚式を果たして無事に祝えるのか?
柳憂怜さん演じるダメ親父が上田の大自然の中で佇む姿も見どころ。
Q3. 感想やエピソード
クライマックスの結婚式シーン。少しノスタルジックで情緒的な雰囲気の場所を探していたところ、イメージ通りのロケ地が見つかり会場をお借りしました。式の衣装や装飾用の花の準備、大勢のエキストラの人たちなど、住民の方々に色々とご協力いただき、最初に自分が想像していたより大々的に撮影を行うことが出来ました。本当に感謝しています。
Q4. その他
「イカロスと息子」撮影後に、文化庁支援事業ndjc2018で、新作短編「サヨナラ家族」(2019)を撮りました。
http://www.vipo-ndjc.jp/ndjc/4251/
ただいま新作長編製作に向けて、企画振興中です。

©東京藝術大学大学院映像研究科

©東京藝術大学大学院映像研究科

牛久保 舞プロデューサー

映画プロデューサー。東京藝術大学大学院映画専攻非常勤講師。
代表作に伊藤丈紘監督『MORE』、眞田康平監督『イカロスと息子』、廣原暁監督『帰ってきた少女』がある。

イカロスと息子(2016年)

あらすじ

離れて生きてきた息子の結婚式のため田舎を訪れる父。息子は父を憶えておらず、母は奔放、外国人の新婦は日本語が話せない。ぎこちない家族の物語。

上田ロケ作品

Q1. 作品名
『イカロスと息子』
Q2. 見どころ
上田市民の出演者のみなさんと風景が織り成す土地の雰囲気です。
主人公の祖母役のオーディションを経てご出演くださった小野敬子さん、公民館の宴会や結婚式場のシーンでエキストラとしてご出演くださった市民のみなさんにしか生み出せない空気感が作品の魅力になっています。
Q3. 感想やエピソード
FCと市民のみなさんが撮影クルーをとても温かく迎えてくださったのが印象に残っています。「映画のまち」として地域で映画文化を大切に育み、心を込めて真剣に受け継ごうとしていらっしゃるのを感じました。
本作では多くの市民の方にご出演頂きましたが、みなさんすばらしい演技を生き生きとしてくださって、驚き、ここは本当に「映画のまち」なのだなと感動したのをよく覚えています。
また、上田市には自然から街並みまで多岐にわたるロケ地が揃っていて、電車・駅、畑、校庭、民家、公民館、パチンコ店、結婚式場など、他の地域ではなかなか借りられない場所ばかりお借りし撮影させて頂くことができました。
そして宴会や結婚式シーンでは衣装や着付け、お花、料理の用意までご協力頂き、迫力あるシーンにすることができました。ありがとうございました。
Q4. 直筆メッセージ

金子 雅和監督

当映画祭自主制作映画コンテストで大賞ほか3度受賞。長野県ロケ作品『アルビノの木』が14カ国20以上の国際映画祭で上映、19の賞を受賞。

逢瀬(2013年)

あらすじ

遺跡から発掘した骨を復元し、独創的な学説を唱える考古学者・諸川が、神の使いと伝わるイノシシの骨を発見する。その骨を家に持ち帰り復元した頃から、彼の娘たちの身に異変が起こりはじめる…。当映画祭第11回自主製作映画コンテスト大賞受賞作品。

上田ロケ作品

Q1. 作品名
『逢瀬』
Q2. 見どころ
かつて山の神の使いと崇められたイノシシの骨を、異端の考古学者が発見したところから始まるダークファンタジー。神秘的な山々や、考古学者とその娘たちが住む家・町の湿度ある日本的な風景が、不思議な物語世界を支えている。上田市別所線八木沢駅、依水館、岩谷堂観音、ほか佐久市や筑北村など、信州各地で撮影。
Q3. 感想やエピソード
ロケハン時の、信州上田フィルムコミッションさんによるサポートの手厚さが素晴らしかった。
4月頭の5日間連続合宿撮影だったが、東京の春の感覚で行ってしまい、信州はまだまだ夜が寒いと認識してなく撮影隊の防寒が甘かったのが反省点。
コミッションの方から差し入れで頂いたりんごジュースが驚くほど美味しかったのと、山に囲まれた土地で起こる怪奇譚という映画内容に、冬~春に移り変わっていく上田の空気感がぴったり嵌っていたのが良い思い出。
2007年にうえだ城下町映画祭で呼んで頂き初めて上田の地を踏んだが、その時からいつか上田ロケを実現したいと願っていたので、2012年にこの映画の撮影が出来て感無量だった。
城下町映画祭で知り合ったご縁で、本作の制作をサポートして下さった皆さまに感謝申し上げます。

「逢瀬」@kinone

神山 征二郎監督

1941年岐阜県出身。『ハチ公物語』『遠き落日』『大河の一滴』『草の乱』など、ヒューマニズム溢れる作風でその手腕を発揮している。

①ひめゆりの塔(1995年)

あらすじ

太平洋戦争末期、国内で唯一の戦場となった沖縄は、アメリカ軍による激しい攻撃にさらされていた。沖縄師範学校女子部と沖縄県第一高等女学校の生徒たちは、傷ついた兵士を看護する従軍命令をうけ、ひめゆり学徒隊として最前線の戦地に赴くことになったのだった。

②宮沢賢治 その愛(1996年)

あらすじ

父との衝突や最愛の妹の死、貧しい農民への報われない愛…。自然を愛し、純粋な心で人々の幸せを追い求めた詩人・宮沢賢治。偉人ではなく、一人の人間としての愛と苦悩を描いた物語。

③草の乱(2004年)

あらすじ

1918年、病に伏すひとりの老人が、妻と長男を呼び寄せ、今まで隠してきた秘密を告白する。それは、自分が秩父事件の首謀者の一人で、死刑判決を受けたが逮捕を逃れ北海道に渡り、以来33年身分を偽り生きてきたことだった…。

④ラストゲーム 最後の早慶戦(2008年)

あらすじ

1943年、太平洋戦争の真っただ中、敵国アメリカのスポーツとして六大学野球は解散させられていた。だが、早稲田の野球部は、顧問の飛田の日本野球を滅ぼしたくないという決意のもと、練習を続けていたのだった。そんなある日、慶応の塾長小泉が飛田を訪ねてきた。

⑤学校をつくろう(2011年)

あらすじ

明治維新の動乱期、アメリカで勉学に励み、後に専修大学の前身である専修学校を設立した相馬永胤を軸に、法律と経済を日本語で教える日本初の学校を創設しようと奔走する4人の男たちの姿を描く。

上田ロケ作品

Q1. 作品名
映画『ひめゆりの塔』 / 『宮沢賢治・その愛』 / 『ラストゲーム・最後の早慶戦』 / 『学校をつくろう』 / 『草の乱』
テレビ『野菊の墓』
Q2. 見どころ
愛と平和が一貫した主題であったと思います。
Q3. 感想やエピソード
県下、長和町の町営別荘地にセカンド・ハウスがあり、その縁で上田市、松本市など度々お世話になりました。中でも上田市立浦里小学校の旧校舎にはひとからならぬご恩がありましたが、先年失火によって焼失。心が痛みました。
Q4. その他
「宮沢賢治・その愛」の学芸会シーン。「ラストゲーム・最後の早慶戦」のラストの球場シーン(上田球場)では多数のボランティア出演をして戴きました。改めて御礼を申し上げます。
追伸.
浦里小学校旧校舎を最初にロケ地としてお借りしたのは多分私の組であったと思いますが、以降、私の他にも篠田正浩組など多数の作品が次々とお世話になり、一時期の日本映画に多大の貢献があったと思います。
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