第21回うえだ城下町映画祭

レポート

 第21回うえだ城下町映画祭のゲストトークと、第15回自主制作映画コンテストの写真を掲載しています。

11月18日(土)「はらはらなのか。」舞台挨拶 酒井麻衣監督

 京都造形芸術大学映画学科大学では、脚本と芝居と編集について重点的に学んだという酒井監督。
 劇団Z-Lionの『まっ透明なAso べんきょ~』という、原菜乃華さんが主演の舞台作品を映画化する話が「はらはらなのか。」の元のアイディアになったこと。原菜乃華さんが舞台をやるまでの話を作りたいと、制作のきっかけをお話しくださいました。
 撮影の裏話としては、ニッチーさんを前にした原さんが思わず吹き出してしまう、本来だったらNGシーンを採用したところ。
 いい脚本を書くために心がけていることは、心に残る風景を覚えておくことや、例えば瓶が並んでいて「どの瓶がデザイン的に目立つか」という視点の他に、「瓶が踊っていたら素敵だなぁ」というように、風景を自分の感性で2通りに見るようにしていることを大切にしているそうです。
 目標としているのは山崎貴監督で、同じ長野県出身なのでいつかお会いしたいということでした。

11月18日(土)「アルビノの木」舞台挨拶 金子雅和監督

 うえだ城下町映画祭自主制作映画コンテストで3回入賞している金子監督。コンテストに応募された動機や、上田ロケ作品「逢瀬」を撮影したいきさつをお聞きしました。
 上田周辺で撮影する魅力として、山や水の風景の美しさや、地元のサポート、東京から近くてやり易いということがあるとのこと。
 上田に隣接する須坂市で6割が撮影された「アルビノの木」ですが、長野県側からしかアクセスできない嬬恋村の小串鉱山跡で撮影しようとして、「東京無国籍少女」の須坂出身の山岸謙太郎監督とのご縁で須坂に撮影拠点を置き、主な撮影地になったことをお話しくださいました。
 ヨーロッパやアジアなど海外でも高く評価されている「アルビノの木」、共通して言われるのが、日本の自然の風景の力や水辺のウェットな感じが魅力だということ。
 また、21世紀の共通した問題として、人間同士が争うジレンマというテーマに対しても共感されるとのことでした。
 今後の活動について、来年の4月に池袋シネマロサで全作品上映の回顧展があること、次回作でも人間と自然の間に起きる問題について取り入れていきたいという抱負を語ってくださいました。


11月19日(日)「モヒカン故郷に帰る」トークショー 沖田修一監督

 「モヒカン故郷に帰る」は、自分の父親のことも考えたりしながら、身内の不幸で自分なりにコメディーな映画を作りたいと、企画から10年くらいかけて撮った映画。現実があまりにもシビアなので、少しはっちゃけるくらいの振り切った作品にしたかったとのこと。
 なぜ現代なのに矢沢永吉なのかという質問に対しては、ロケ地が広島の蒲刈島と大崎下島だったので、広島だったら、もたいまさこさん演じるお母さんのようなカープファンが多いし、柄本明さん演じるお父さんが、青春時代からおっかけていた矢沢永吉も広島出身だということで、固有名詞を意識して出すようにしたとのこと。息子が何年ぶりか帰ってくるけど、お父さんとお母さんにはそれぞれの生活があるということを表現したかったそうです。
 主人公永吉の、松田龍平さんのモヒカンが地毛であること、わざと剃り残しを作って面倒くさがりの性格であることや、パンクは本当は赤なのだけど、色は緑色で、そこは枠にはまらないバンドだと言いたかったそうです。
 撮影については、病院での壁にぶつかるシーンは壊さないように何回もテストした、ラストのドタバタのシーンは監督が映りこんでしまいNGになったなど裏話なども。
 また、昨年、指導者としていらしてくださった子ども映画教室は「(参加した子どもたちが)楽しかったらいいな、あとあと思い出すようになったらいいな!と思い、実際楽しそうだったことや、撮ったものを大きなスクリーン(上田映劇)で観る機会が貴重だったとのこと。
 次回作は、山崎努さんが演じる、画家の熊谷守一さんについての『モリのいる場所』。来年のゴールディンウィークに公開されます。『キツツキと雨』にも出られていた主演の山崎努さんが熊谷守一さんを好きで興味を持ち、オリジナル脚本を書いた作品。絵の題材である、虫がたくさん出てくる映画だそうです。 熊谷さんご本人もたくさんの逸話が残っているユニークな方だし、大好きな山崎努さんが演じているので、大変なとても面白い現場だったそうです。
 その他『南国料理人』『横道世之介』『滝をみにいく』など今まで作られた作品についてのお話しも伺いました。

11月19日(日)「くも漫。」ゲストトーク 脳みそ夫さん、小林稔昌監督、峰添忠プロデューサー

 上田の上映の後はしばらく予定がないので、ぶっちゃけトークをやりましょうということになりました。  
 「くも漫。」を上田で撮影しようと思った動機としては、原作では北海道が舞台だが、予算的に行くのが難しいので近場を探していた。いくつか候補の中で上田市の袋町の、映画のセットのような街並みを見て決めたとのことでした。
 今回は脳みそ夫さんの映画初出演だったのですが、旧丸子中央病院が廃病院なので暖房が入らず、その中で汗をかくシーンで霧吹きで水を噴射されてとにかく寒かったことや、 上田橋の上で車の中で学が泣く、大変印象的なシーンを、偉いプロデュー サーさんにカットされそうになったことをお話くださいました。
 撮りなおしたい場面というテーマでは、小林稔昌監督が、親戚が病室で靴の話をしている時のノーカットの5分の幻のシーンがあり、そちらは採用されなかったがDVDに収録されているそうです。
 トークの後は、1000人がやってくれたら脳みそ夫さんがCDデビューできるという「 脳みそ夫体操」を全員でする「みそチャレ」を行いました。
 また「くも漫。」の公式ツイッターでは、下記のようにつぶやいていただきました。
 『上田で撮影を行い、上田で先行上映を行って、上田に戻ってくる。。。節目はいつも上田!「くも漫。」の舞台挨拶関連も一つの区切りを迎える〜すでも、映画は色んな形で残っていきます。まだまだ皆様の心に残るように祈る〜す。』 https://twitter.com/eiga_kumoman
 脳みそ夫さん、小林稔昌監督、プロデューサーの峰添忠さん、ありがとうございました!

11月18日(土)、19日(日) 第15回自主制作映画コンテスト表彰式・受賞作品、ノミネート作品上映

うえだ城下町映画祭第15回自主制作映画コンテスト
左上:表彰式(上田文化会館)

右上:受賞作品、ノミネート作品、審査員、映画祭ゲストの皆さんで記念撮影
左下:受賞作品・ノミネート作品上映会(犀の角1F)

右下:受賞作品・ノミネート作品上映会(犀の角3F)

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