レポート（2009年開催 第13回映画祭）※終了しました。
第13回うえだ城下町映画祭のゲストトークと表彰式の様子の報告です。
ゲストトーク「SR サイタマノラッパー」入江悠監督&大林千茱萸
大林千茱萸さんから質問をする形で、入江監督にお話を伺ったトークショー。
入江監督の学生時分の映画制作についての話や、深作欣二監督の作品に影響されたことなどをお聞きしたのち、「SR サイタマノラッパー」について話がおよびました。
「深谷は、自分の地元。都会ではない郊外の街。そんなところに住む若者たちを描きたかった。主人公がラッパーというのは、自分がラップが好きだったというのもあります。
最初は主人公のイックとカメラくらいの人数で撮りはじめたのですが、なかなか思い通りには行かず、大勢のひとに参加してもらうことになりました。メンバーが、役所でいろいろと質問されるシーンも、出ているのは地元のひとたちです。特に芝居をしてもらうというのではなく、その人のキャラクターそのままでやってもらいました。
今回は長廻しのカットにこだわって撮りました。ラストの焼き肉屋での場面も、主人公が途中で歌を間違えたりして、何度も取り直して、店の人は早く終わってくれないかなという感じでしたね(笑)。
次回作は、やはりラップを主題にした、群馬が舞台の「それいけ！女子ラッパー」です。「男はつらいよ」みたいにあちこちの土地を舞台に作って行ったら面白いかも。
上田はほんとうに好きな町ですし、真田幸村も好きなんです。いつかはぜひ、「真田十勇士」のような幸村を主人公にした作品を撮ってみたいと思っています。」
ゲストトーク「秋日和」三上真一郎&品田雄吉
「秋日和」に出演されている俳優の三上真一郎さんと、映画祭実行委員長の品田雄吉さんを交えたトークが行われました。
「小津作品に出演するようになったきっかけ。
ある時、ひとに言われて小津監督に挨拶にいったんですが、実はわたしはその時、小津さんてどんなひとなのか全く知らなかった。もちろん、すごい映画監督なんだってことも知らないでいた。だから、何だろうこのおじさんという感じで、にこにこと素のままで 会ったんですが、それが良かったんでしょうかね。他にも若手の２枚目の役者が何人か売り込みに来ていたんだけれども、小津監督の方で三上にするっていうことで出演が決まった。
小津作品に出たのは２本だけだけれども、気に入られて、可愛がってもらいました。酒を持って、無藝荘に遊びに行ったりね。
小津さんは、結婚しなかったので自身の子供はいなかった。だから、映画の中に出て来る家族は、小津監督が心の中で求めていた家族像だったんじゃないでしょうか。」
ゲストトーク「サマーウォーズ」上木則安さん&菅野泰史さん
始めに、細田守監督と小磯健二役の声の神木隆之介さんのビデオメッセージがあり、その後「サマーウォーズ」の配給・宣伝担当の上木則安さんと菅野泰史さんにお話しを伺いました。
「（ワーナーというと外国映画のイメージだが、日本のアニメを扱うということについて）最初のアイデアの段階では、ワーナーの中でも「よくわからない」とい う声が多かったが、脚本が出来てイメージがつかめてきてラッシュの段階になってくると「これはいけるんじゃないか」という感じになってきました。
細田監督に関しても、菅野さんたち若い人が、「次世代のアニメをしょって立つのはこの人だ」ということでプッシュしてくれて・・・。普通はあまりやらないのですが、ラッシュの段階でのマスコミに対する試写を積極的に展開していきました。
また、上田の市役所の方たちの熱意がすごかった。逆に、こちらの方がその熱意に押されて動かされた部分もおおいにありました。
主題歌の山下達郎さんも、同時期に他のアニメ映画からのオファーもあったのですが、こちらを選んで良かったとのことです。
細田監督は、いま次回作の構想を練っているそうです。来年か再来年の夏辺りにまた新しい作品が見られるかと思います。」
最後に、サプライズで、他では手に入らない非売品の「サマーウォーズ」ジグソーパズルのプレゼントがあり、映画を見た回数の多い人の中から、８人の幸運な方がそれを手に入れました。
第七回自主制作映画コンテスト表彰式
自主制作映画コンテストの表彰式は、大賞の鈴木健監督、大林千茱萸賞の金子雅和監督、古厩智之賞の頃安祐良監督をお迎えして行われました。
各賞の発表と表彰状の授与、審査員からのコメントの後、受賞監督から、感想や今後の活動についてお聞きしました。また、夕方には受賞者、審査員、ゲストの入江悠監督、映画祭スタッフを交えて懇親会を行いました。
永井正夫賞の一ノ瀬監督は、残念ながらご欠席でしたが、賞品と、「高橋宗太郎と雨の殺人事件」の登場人物と一緒に撮った写真を送ってくださいました。この写真では分りづらいですが、ハムの横で人形がお箸を持って立っています。
